
二戸市の名勝、男神と女神には、許婚同士のもつれによる悲しい伝説が残されています。その男神岩と女神岩周辺の二戸市石切所奥山地区と上里地区の境あたりに「賽(さい)の神」の祠があり、そばには毎年見事な花を咲かせるエドヒガンザクラがあります。賽の神は、道祖神の事で村境を守り、行路の安全を保障してくれる神として信仰されています。道行く人を賽の神と共に、いつも見守ってきたこの桜を伝説をたどりながら、訪れてみてはいかがでしょう。


岩手山を遠くに望む小高い丘にどっしりと咲く一本桜。かつて神社のあったところで、神社移設の際、1本だけ残されたこの桜が毎年見事な花を咲かせ、人々の目を楽しませてくれています。いつ植えられたのかはわかっていませんが、ご神木だったと考えられます。オダギリジョー主演の映画「オペレッタ狸御殿」の撮影地ともなったことで広く知られるようになり、県内外から花見客が訪れています。晴れた日には、青空とのコントラストが絶景!


『おもさげながんす...』というセリフが印象的な映画「壬生義士伝」やNHK朝の連続テレビ小説「どんど晴れ」のロケ地としてしばしばスクリーンやテレビに登場し、今や一本桜の代名詞と言っても過言ではない程に全国に知られている名所です。元々、牧場内の桜は、放牧されている牛たちの日よけとして植えられたと言われていますが、今では、絶好のロケーションに四季を問わず、全国から観光客が後を絶ちません。牧草地への立入りは禁止されていますので、道路脇からの見学になりますが、映画やドラマのシーンを思い出しながら岩手山との絶景をお楽しみください。



弘法大師が訪れた時に、杖にしていた桜の枝をさしたものが根づいたと云われる「弘法桜」。樹齢は、推定800年以上と言われ、古木ながらも見事な花を咲かせてくれます。側には、祠が祀られ、また近くには、石塔なども見られます。およそ800年もの間、地域を見守り、長い歴史とともに人々と関わってきた由緒ある桜…当時の人々の暮らしが垣間みれたような気がします。遠景の岩手山をバックにすると美しさが一層際立ちます。



盛岡の寺町通り(日本の道100選)にある龍谷寺(りゅうこくじ)は、石川啄木の伯父が住職を務めていたお寺です。啄木の父、石川一禎(いってい)は、この住職の弟子であり、特に和歌に関して大きな影響を受けたと言われています。少年時代の啄木もしばしば訪れ、詩歌の手ほどきを受けたとか。啄木のルーツをたどるには、欠かすことのできないこのお寺に国の天然記念物に指定されている桜、「モリオカシダレ」があります。花の色は白っぽく、細い枝にたくさんの花を付け、優雅な雰囲気のある桜です。桜の側では、お地蔵様が訪れる人を見守るかのように祀られています。



盛岡市内ではいち早く開花すると言われる石割桜。石を割って生える力強さと、樹齢約360年という老木ながらも見事に花を咲かせるその生命力は、見る人に勇気と感動を与えてくれるでしょう。過去には、裁判所の火災から身を挺して桜への延焼を防いだと言う庭師とのエピソードもあります。地元では、初冬には雪囲い、春には、こも外しなど節目節目に石割桜に関わるニュースを耳にして季節の移ろいを感じるのです。1923(大正12)年、国の天然記念物に指定されています。


花巻市の身照寺は、春の境内に咲き誇るしだれ桜の風情がすばらしい古刹で、宮沢賢治の菩提寺としても多くの人に知られています。花の重みで地に届くように下がった枝が、やさしい春の風にゆれる下をそぞろ歩けば、なんだか心まで洗われるような、静かな悠久の時間を感じることが出来るでしょう。昼ののどかな桜、夕闇にとけこみそうな憂いのある桜、どちらもおすすめしたいスポットです。


遠野市土淵町大洞のヤマザクラは、東西南北に15mもの枝張りを見せる遠野市の指定天然記念物。遅い山里の春、樹齢約265年をこえる大樹は無数の紅白花にけむるように包まれ、あたりのみずみずしい新緑の芽吹きとあいまって何ともいわれない幻想的な風景が広がります。根元には小さな氏神様が鎮座していますが、神さまの化身とも呼ばれるヘビが棲んでいるとも言われています。


樹齢400年ともいわれるヒガンザクラの大木で、根元の周囲はおよそ6メートルあります。稲の種をまく頃と開花時期が重なることから、「種蒔桜」と呼ばれています。時に人々の励みになり、支えとなってきたであろうこの桜を眺めると、長い歴史の中、住民との深い関わりを思わずにはいられないのです。また、写真右上の枝振りを見てわかる通り、夕暮れや月夜には、龍が空に舞い飛ぶ姿(飛竜)に見えることから、「お化け桜」とも呼ばれています。400年以上も地域を見守ってきた生命力溢れるこの桜の下で、思い思いの時を過ごしてみてはいかがでしょうか。
