羽山(600m)

 北上市西端に近い岩沢地区の里山ですが、山野草を語るとき、この山を忘れることはできません。
 山頂付近には残雪も見られる4月下旬頃、中腹一帯にはイワウチワの大群落が林床をピンクに染めます。初めて見たときには、その規模と密度に驚かされました。
 登山道沿いにこれ程のイワウチワの群生が見られるところは珍しいようです。

岩沢地区から望む羽山

岩沢地区から望む羽山

登山道を飾るイワウチワ

登山道を飾るイワウチワ

 しかしながら、安易には近づけない厳しさも併せ持つ山です。古くは山伏達の修行の山とされ、近年でも県総体登山競技の舞台となったことからも十分に納得できるような、きつい急坂の連続ですから、しっかりとした足ごしらえと基礎体力が必要となります。登山口からの標高差は約440m、所要時間は登り約1時間10分、降り約40分程度です。

 羽山山頂には「湯殿山」と刻まれた石が小さな祠に添えられております。周囲には月山、羽黒山と、「出羽三山」と全く同じ名称が付けられた山もあり、総称して「和賀三山」。これには古い歴史的背景もあるようです。
 この岩沢地区には、出羽三山修験の流れをくむ山伏が住み着いていたとされる多門院伊澤家の住宅が現存し、国指定重要文化財になっております。この地域には近年まで銅鉱山が多くあったことや、古来、秋田への要路であった「秀衡街道」が通っていたこと、その最大の難所とされた仙人峠の登り口に当たることなども、山伏達が住み着いた理由の一つなのかもしれません。
 この山伏達の修業の場として、周囲の山々の中から険しい山を選んで「三山」としたのでしょう。
イワウチワ

イワウチワ

 また、この岩沢地区一帯にも山野草が多く、集落内にミズバショウのみごとな群生地もあります。地域の方々が手作りの木歩道等を整備しておられるので手軽に探勝できます。ミズバショウの見頃は連休辺り。JR北上線岩沢駅のすぐ近くです。
 豊かな自然と歴史的遺産を守り続ける北上市和賀町岩沢地区を訪ねてみては如何でしょうか?