岩手の山々は半年以上も深い雪に覆われますが、そこには自然の厳しさとともに千変万化の神秘的・幻想的景観が演出され、観る者の心を捉えて離しません。
その雪山の素晴らしさをお伝えするには、『日本百名山』の著者深田久弥の文章を引用させて頂くのが一番なようです。
「一度冬山に登ってそのすばらしい景観に接した人は、その魅力から逃れることは難しいだろう。この世のどんなながめも冬山にはかなうまい。私は日本の名勝とか絶景とか呼ばれるものをかなり見て回ったが、ついぞ冬山ほどの感動をおぼえたことがない。」
「自然の美しさ、雄々しさ、きびしさは、冬山に尽きるように私は思うが、それは実際に行って見た人でなくては分かるまい。」
「蔵王や八幡平のこの世とも思えない樹氷群の豪華さを、スキーをやらなかったらどうして知ろう。こういう魂を揺さぶるような景観に接することなく一生を終える人こそ不幸なるかな、と言いたくなる。」
(「深田久弥・山の文庫5 山さまざま」より)
県内には八幡平のほかにも、冬期に登山口までのアプローチが比較的容易な山域が少なからずあります。
今回はそれらのうち、山スキーの代表的なコースと雪山登山の入門コースを紹介します。

《冬山の心構え》
雪の山に入るには、歩いて登るか山スキー等の使用が一般的ですが、近年はスノーシューの利用も増えてきました。
いずれにしても夏山とは異なり、登山道は無いに等しく、厳しい寒さや雪崩の危険、天候急変や晴天時でも強烈な地吹雪等で視界不良となり迷い易いことなど、様々な危険が多く待ち構えていることを常に念頭において、十分な冬山装備で慎重に行動することが求められます。
出来るだけ単独行動は避け、冬の現地を熟知している人と一緒に行動するよう心がけましょう。